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熱海のデーツ

 

「日本でデーツは育ちますか?」

「デーツを栽培できますか?」

展示会に出展すると当社ブースにお越しのお客様から、よくそうしたお問い合わせをいただきます。

またそうしたお客様から、種が発芽したとのご報告をいただくこともあります。

 

では栽培できるか、結論からいうと

「栽培は可能であるものの、実を収穫して販売する商用化は難しい」

という答えになります。

 

理由はデーツの栽培には気温が40⁻50度に至る高温に加え、強い日差しと乾燥(砂漠気候)が必要なためです。

日本には四季があり、梅雨と台風もあるので安定して栽培するのは、かなり難しいと少なくとも私は想像します。

しかも、気象条件に加えてデーツは雌雄異株であるので、特に栽培の初期段階において、種から収穫期を迎える5年後まで育てたものの、雄株であるため実がつかない可能性もあります。(これは複数株を同時に栽培すれば解決するかもしれませんが。)

 

実際、生産の現場では十分に生育した雌株から、木の根元に生えるひこばえ(オフシュートや吸芽(きゅうが))という、子株を切り離し、移植して栽培し、受粉作業を経て安定的に果実を収穫しています。

 

では逆に日本にデーツは存在しないのかというと、じつは存在します。

しかも樹齢150年にも至ろうかという、長寿のデーツの樹が静岡県の熱海市に生えています。

 

先日、東京農業大学の小塩海平教授にお会いした際に、そうした日本におけるデーツの歴史を詳しく伺いました。

小塩教授は花粉の研究で著名な方ですが、デーツの本場サウジアラビアの研究機関に協力を依頼されるほどデーツにも知見があり、著書「花粉症と人類」(岩波新書 2021年)でもデーツについて興味深いエピソードをご紹介されています。

 

詳細は書籍をご覧いただくとして、熱海市のニューフジヤホテルには日本最古のデーツが生えていること、そのデーツを初代駐日英国大使サー・ラザフォード・オールコック氏が日本に初めて持ち込んだという説や、1971年には静岡大学の上野実朗教授(当時)が受粉して果実を収穫したことなど、個人的には鼻息が荒くなるエピソードを惜しみなく教えていただきいただきました。

 

そうなると、詳細が気になったのでChatGPTに尋ねると『日本にデーツは生えていない』とぼろくそにコケにされた(と感じた)ものの、上述小塩教授の書籍の引用元の学会誌まで調べると、やはり『熱海のナツメヤシ』は本当にあること(当然ですが)がネット上でも確認できました!(ナツメヤシはデーツの和名)

しかも静岡県の県指定/記念物 ・ 天然記念物(1972年指定)です。

上野教授が受粉して果実が収穫されたのが1971年、翌1972年に天然記念物指定したという流れに、当時の想像が膨らみます。

 

以上、まるで古典落語の「目黒のさんま」のような本ブログタイトル「熱海のデーツ」ですが、実際に存在するという嘘のような本当の話でした。 

熱海のナツメヤシ(しずおか文化財ナビより)

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コメント: 1
  • #1

    小塩海平 (水曜日, 25 3月 2026 11:59)

    氏家さま

    記事、楽しく読ませていただきました。
    ニューフジヤホテルは1泊2食付きで1〜1.2万円ほどです。
    いつか、ご一緒できればと願っています。

    小塩