· 

クラウドファンディングで独占販売権を取るには?

皆さま、

クラウドファンディングで輸入する副業・起業が盛り上がっているのをご存知でしょうか。

理由は、在庫リスクゼロで輸入ビジネスを始められるからです。

海外商談支援をしていると、こうしたビジネスに取り組んでいる方から海外メーカーとの交渉支援を依頼されることが頻繁にあります。

わたしに相談にいらっしゃるお客様は、海外クラウドファンディングサイトで多額の資金調達に成功した商品を日本で独占販売権をもって日本で展開することを考えています。

輸入ビジネスにおいては、独占販売権があれば不毛な価格競争に巻き込まれず安定して販売できるため、最終的には誰しもがその取得を目指します。

そこで今回は、どうすれば海外商品の独占販売権を取れるか、その交渉の要点についてご紹介します。

f:id:mendoydx:20201007234340j:plain

目次

はじめに

1.在庫

2.実績

3.企画力

まとめ

はじめに 

繰り返しですが、私の依頼主の交渉相手は、海外クラウドファンディングで『資金調達に成功した』企業です。

資金調達額は商品の魅力のバロメーターなので、多額の資金調達に成功した企業には、日本から販売パートナーになりたい旨の引き合いが殺到しています。

経験したなかでは「日本から販売代理店希望の問い合わせが100件届いている」とのメーカーもありました。

彼らに届く日本からの引き合いの多くは、

『日本のクラウドファンディングを利用したテスト販売』

の提案であり、内容は自然と似通ってきます。

提案が似ているので海外メーカーとの協議内容も同じように進むことが多く、彼らに言わせると「(日本の)パートナー候補は、みんな提案内容が同じ」とのことです。

逆に私にとっては、多くのメーカーとの独占販売権を目的とした同じような商談でも、うまくいく場合にはキモがあることが見えてきました。

それが、重要な順に以下3つのキーワードです。

1.在庫

2.実績

3.企画力 

1.在庫

クラウドファンディング輸入ビジネスのメリットと全く相反しますが、在庫を抱えられることは販売パートナーの大きな強みになります。

日本からの問い合わせの多くは、クラウドファンディングの成果次第で商品の購入量が増減します。

それに対して頭金で在庫を抱えられることは、それ自体で大きな差別要因になります。

在庫を確約できれば、メーカーは仕入れ価格の値引きにも柔軟に応じてくれることが多く、通常は細かく精査される本稿の以降の具体的なヒアリングがなくなることもあります。

販売パートナー候補は、在庫のための自身の資本力と、プロジェクト終了後に入金される、調達見込み金額の間で難しい判断を迫られる局面です。

経験則的な感覚ですが、数百万円相当の在庫を提案できれば、メーカーと当面(3-6か月程度)の独占契約を前向きに協議できそうです。

2.実績

実績の意味は2つあります。

1.クラウドファンディングでのプロジェクト実績と2.小売業としての販売実績です。

クラウドファンディングの実績

海外メーカーは、当然ですが、パートナー候補が類似商品のクラウドファンディングでどれくらい資金調達したか実績を重視します。

クラウドファンディングでは、ネットをフル活用した営業・マーケティング手法があり、その経験と実績で今後の成否を相応の合理性をもって判断できるからです。

私のお客様の場合は、はじめてクラウドファンディングでの輸入に挑戦する方々が多く、個人では実績がないために、ご自身が所属するクラウドファンディング勉強会の主催コンサルタント、またはマーケティングパートナー企業の実績をもって、チームとして実績をアピールしています。 

小売業としての販売実績

海外メーカーが中期的にも日本進出を考えている場合、パートナーはクラウドファンディング以降の日本事業展開についても精査されることになります。

その場合は、東急ハンズ、ビックカメラ、ロフトなど大手小売業で、過去に類似した商品を販売した実績の有無や、大手小売業者との購買担当者との関係性、また自社オンラインショップでの販売実績も評価対象となります。

とはいえ、これは中期的な展望でもあり、メーカーとしては短期的なプロジェクトの成功可能性を最重要視しているのが本音のようです。

3.企画力

企画力、あるいは計画の具体性とも言えます。

海外メーカーは、パートナー候補がインターネットでどのようにプロジェクトを告知するか、

  • 広告予算
  • SNSやYoutubeにどのくらい投資するかの内訳
  • 広告に起用するYoutuberやインスタグラマーのフォロワーの性別・年齢層属と人数

といった数字を交えた分析と具体策を重視します。

一例ですが、お客様のなかで、Youtube広告を見た人が実際に商品購入にいたるコンバージョンレートまで考慮して広告戦略を具体的に提案していた方は、メーカーから高く評価されていました。

もし広告予算を抑えるのであれば、パートナー候補自身のSNSのフォロワー数と属性や、あるいは小売業の業歴があれば顧客リストの数に基づいた、リーチ可能な潜在購入者数の算出と営業企画が期待されるところです。

ネットを使わない場合のマーケティング企画についても同様に具体性が精査されます。

大手小売チェーンや見込み客が利用する施設への提案方法、スケジュール、事前ヒアリング状況、あるいはパートナー候補の過去の職歴をふまえた販路開拓案など、海外メーカーには知りえない日本ローカルの情報とノウハウが高く評価されます。

・・・そして最後に熱意です。

海外メーカーの多くはベンチャー企業であり、同じベンチャー企業ともいえる日本のパートナー候補のチャレンジ精神を好意的に受け止めてくれる傾向があります。

日本で小売業を立ち上げた創業ストーリーや、メーカー商品の魅力を日本市場に紹介し、販売拡大したいことを熱意をもって説明することで、取引相手としてアピールすることができます。

まとめ

身もふたもない話ですが、海外商品の独占販売権を取得する交渉にあたり、日本のパートナー候補が1.在庫を抱えられること(=資本力)は大きな強みです。

しかし在庫を抱えられない場合も、自分または協力者の2.クラウドファンディングでの資金調達実績をアピールし、3.具体的で説得力のあるマーケティング計画の提案を、熱意をもってプレゼンできれば、独占販売権を取得できる可能性は出てきます。